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自画自計

散文歌


7曲目
肩書きを上手く脱げないまま 感触の変わらない手を ポケットに投げ込んで 地下鉄へ向かうエスカレーター 上る人の行方を横目に 下る僕の行方が消える タンカーの様な隙間だらけの座席 常習犯のほほ笑みで 麻酔とメスがまちぶせ 俺の知らない言葉が 今夜を足止めしては 俺の詩には無い手触りで 脈を打ち始める 時間も恋人も 飛ばない鳥も飛べない鳥ですら 同じ場所にいる 見つめ合えずにいる 今夜も流れてくる 今夜も聴けずにいる 7曲目
yuji
2 日前


折り目
自分を疑い始めたのは いつからだろう 手に出来ない物を 欲しがるようになった 自分に期待し始めたのは いつからだろう 手に出来そうな物が つまらなく見えていた 例えば 読みかけの恋なのに 最後のページを覗いてしまうような 折り目をつけたままの 残されたストーリー 笑うことも泣くことも 片手で出来る時代に 冷たい画面をなぞって 温もり探している あなたに会えない夜は 星を眺めればいいのに カーテン越しの恋人たちを うらやんでしまう 例えば 大丈夫だよって言ってみる 愛し方の口元を噛みしめて わがままになりたい私を試している
yuji
1月26日


最前線
昨日までの正解が 日めくりの様に フィクションになっていく そんなヒストリーじゃ ヒステリーを起こしそうで 僕の言葉でさえ 明日にやられそうで カジュアルが答えだなんて ニュートラルに侵される 僕のパーソナル 運命線をたどりながら 導火線に迫られる 僕の最前線 言葉が重力を失い 距離が引力を帯びる 君の指と僕の指が触れる
yuji
1月18日


預言者
夢に割り込むように 二度と来ない今日がせかしてくる 毛布の中が心地よくて 大衆の中から抜け出せなくて 現実って音がやかましくて イヤフォンでキャンセル 断れない未来が 契約書を突き付けて胸の奥で鳴っている 画面越しの占いが 最高の一日だって言うけれど 俺の未来は俺で当てれそうで 平凡て書けば当たりでしょ 占い師が 占い師の未来を予言するような日々で 今日の終わりに感じる 俺の気持ちが透けてくる 明日が来ないと言ったら 嘘みたいな今夜を選べそうで 明日が来ないと言ったら ペテン師の顔で明日を探しそうで 今夜が終わるその前に 「まさかね」って言わせてみようか
yuji
1月13日


恋/愛
電話越しに聞こえてくる 君のおはよう 起きかけの夢の前で 君の温もりを感じて 贅沢な朝でしょって 君の微笑む声 置時計が時を忘れて 呆れてる ここが恋で ここからを愛で 君が遅れて来る 膨れて見せるけど 賢い猫の素振りで 腕にしがみつく 反則なんだけど 正解な気がして 甘いだけの恋を 疑う暇もなくて これも恋で どうすれば愛で 寂しさの雨が 僕らを試す日も来る 愛の折り傘を ちゃんと預けておきたい 今はまだ 恋ときどき愛だけど
yuji
1月7日


ただの夢さ
ただの夢さ 見るだけの夢さ 身代わりにもならない 過去の秘密 差し出す価値もない 僕の叫び ただの愛さ 使いきれない愛さ 君の温度を包む毛布で 僕をだまして それでも君の笑顔で 僕を生きている ただのカギさ 君と僕だけのカギさ キーホルダーみたいな 音を立てながら 二人なら開ける扉がある どんな時代でも もう僕と君は ただの僕と君には戻れない
yuji
2025年12月30日
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