心屋
- yuji
- 12月5日
- 読了時間: 2分
少し冷たい風が寂しさの色を見せて
抱きしめる事の意味を知らせてくる
何となく――そう、何となく本屋へ向かう
海を見つめることが許されるみたいに
言葉に触れることが許される場所
僕には心が丁寧に並んでいる様に見えるんだ
だから本屋なんて言わずに 心屋って
名乗り出てもらえると助かるんだけど
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ジャンルじゃなくて、心別に並べてもらいたい
喜び
驚き
優しさ
そして悲しみ
寂しさに触れたくなった時に
すぐに見つかるように
――こんなことがあってね
別れを告げられました
優しい 優しい別れを
あんまりに優しい別れだったから
より愛さずにはいられなくて
おかしな話でしょ
僕の自由と不自由を 奪われるぐらい
愛し過ぎずに愛するなんて できなくて
愛と恋との違いも 分からずに
君に好きだと告げていました
君の言葉をふと思い出す
「私のどこが好きなの?」
どこだろう
好きに「どこ」なんてあるのだろうか
結局、「全て」と答えてしまった
答えが解らない時の 答えの様な気がする
この悲しみが この痛みが 君だと思えて
悲しみを和らげる気にはなれなくて
この悲しみと同じだけの 悲しい歌を集めた
悲しみは悲しみでしか感じ会えない 多分そう
何度も 何度も悲しい歌を聴いた
悲しい歌は こんな時のためにあるんだと
その時に知った
今なら、少し分かる気がする
あの時の
優しい 優しい別れは
そう、君の
悲しい 悲しい歌だった
ごめんね―― ありがとう。




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