3年6ヶ月と2日目
- yuji
- 9月28日
- 読了時間: 1分
小さかった頃、母の横で座席に膝をつき
大きな窓に両手を当てて流れる景色を見ていた
初めてみる景色にワクワクしていたと思う
旅行に連れていかれれば、全てが新鮮だった
無人の改札、山道や揺れる橋、温泉と夕食
慣れない事ばかりで夜は寝つけなかった
あれからいくつ初めてを見てきただろうか
君は映画を見に行く前に 予習だと言って過去作を沢山観るね
予告編も良くチェックしていたね
堪能するためだって言ってた
僕はといえば、新鮮さと驚きがほしくて事前チェックはしない
楽しみはその時までに取って置きたい
買い物もそうだ、一目惚れして買ってしまったというやつ
予想外、予定外と言うのだろうか
あの感覚が好きだ
だからサプライズも好きなんだけど
サプライズだらけの毎日って訳にはいかない
特別な日が特別な時にだけあるから特別なんだと思う
そんな僕を見て 不満げな君がいる
「今日何の日かわかる?」
全く心当たりがない僕に
「3年6ヶ月と2日目を結婚してから初めて迎えた日よ」
「初めてじゃなかった?」って
君は鼻歌を歌いながら台所へと消えて行った




コメント